こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

入管庁公表の統計によりますと、2024年末における在留外国人は376万8,977人で、過去最高とのことです。在留外国人には、中長期在留者と特別永住者を含めた数になります。詳しくは「令和6年末現在における在留外国人数について」をご参考ください。

そして、現行の特定技能制度、今後運用が開始される予定の育成就労制度により、また人手不足が益々深刻化していく現状下において、今後、在留外国人がさらに増加することには間違いありません。また、日本総合研究所のある調査によりますと、早ければ2040年代にも「外国人1割社会」になるとも言われています。多文化共生施策等在留外国人とどのように向き合って行くかが、今後の更なる課題になって行くものと思います。

さて、今回は、日本への移住を考えている外国人を対象に、日本に長期滞在するための在留資格について、解説したいと思います。

外国人が日本への移住を考える動機は、主に「日本で働きたい」、「日本で事業をやりたい」、「日本人との結婚」が考えられます。ただ、日本には移住のための移民ビザや市民権が得られる投資制度といったものがなく、移住して日本に長期滞在するためには、それぞれの滞在目的(活動内容)に応じて、日本政府に対して許可申請を行い、適切な在留資格(以下、ビザ)を取得する必要があります。ですので、自分に合うビザというのは、自分から選ぶものではなく、日本に移住して何をしたいのか、つまり日本での滞在目的(活動内容)を明確にし、それに応じてどのようなビザを取得するかを検討しなければなりません。

それでは、先述の移住の主な動機となるそれぞれのケースについて、どのようなビザを取得する必要があるか、説明したいと思います。

日本で働きたい

この場合は就労ビザを取得する必要がありますが、まずは日本での活動先(雇用主や受入機関等)が決まっていないと申請が出来ません。また、就労ビザにも多くの種類があり、就労する機関(企業、大学、研究所等)や活動内容(業務内容、仕事内容)によって、取得可能な就労ビザが異なります。

ポイント制による高度外国人材向けの「高度専門職」ビザもありますが、ポイントさえ満たせば申請できると勘違いしているから外国人がいますが、こちらもあくまで就労ビザのため、日本に活動先が存在していなと申請が出来ません。

ですので、日本に移住して働きたい場合は、就職活動や人材紹介会社等を通じて、日本国内における活動先を見つけることが必要です。

日本で事業をやりたい

一般的には、日本に会社を設立して、経営管理ビザ(又は高度専門職ビザ)を取得し、日本に滞在することになります。会社を設立する自体はそれほど難しい手続きではありませんが、経営管理ビザの申請の当たっては様々な基準を満たす必要があります。経営管理ビザの取得については、以下の記事もご参考ください。

また、日本で起業準備を行うためのスタートアップビザやJ-Find(未来創造人材)制度も用意されていますので、こちらの制度を利用すれば最長2年間をかけて日本で起業準備を行うことが可能です。起業準備が終わったら、経営管理ビザへの変更申請を行うことになります。

日本人との結婚

日本人との結婚がきっかけ、また日本人と結婚した夫婦が、日本人配偶者の海外での赴任が終わって、日本への移住を考える外国人も多くいます。この場合、外国人配偶者が取得するビザとしては「日本人の配偶者等」が該当します。取得方法に関しては、以下三つのパターンが考えられます。

①日本人配偶者が先に帰国して、外国人配偶者のCOE申請を行う。
②日本にいる親族が申請代理人となって、外国人配偶者のCOE申請を行う。
③外国人配偶者は観光ビザ(短期滞在ビザ)で、ご夫婦ともに日本に入国し、変更申請を行う。※こちらの変更申請の場合、一部の査証免除国や査証が免除されていない国の方は、90日滞在可能な「短期滞在」ビザを取得して入国する必要があります。

上記以外にも、日本への移住を考えることとなったきっかけや動機はいろいろあると思いますが、日本は移民国家でもなく、単純に移住するためのビザ制度もありません。

また、海外在住の方からは、日本の永住権を取りたい、日本のパスポートが欲しい(日本国への帰化)といったお問い合わせをたくさんいただきますが、永住権や帰化申請は、誰でもいきなり申請できるものではなく、まずは中長期滞在ビザで日本に入国し、一定期間継続して日本に在留していること等が求められます。

日本ビザ、永住権、帰化申請等お悩みの方は、ぜひ弊社にご連絡ください。

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