こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。
3月に入り、あちらこちらで梅の花が咲き、春の訪れが感じられる今日この頃です。
本日は最近、なぜかお問い合わせの多い、アスリート向けのアメリカビザについて、見ていきたいと思います。弊社には下記のようなお問い合わせがこれまでありました。
- アマチュアのバスケットボール選手です。アメリカのチームにトライアウトに呼ばれています。
- アイスホッケーをやっている小学生の息子が、アメリカのチームにワンシーズの参加を求められました。期間は半年程度です。
- スポーツフィッシングをやっていて、少しずつ成績が残せるようになり、試合数も増えてきました。賞金も得ています。
- プロゴルファーです。今年、初めてアメリカツアーに参戦することになりました。勝てば、賞金を得られます。
- プロゴルファーで、アメリカでの戦績も残しています。そろそろ就労ビザが欲しいと思っています。
- 今年、メジャーリーグのチームと契約しました。一日も早く渡米したいです。
上記のようなアスリートにどのようなビザが適切か考えていきましょう。
アマチュアスポーツ選手
アマチュアとしてスポーツをしている場合には、ESTAあるいはB-2ビザが該当します。B-2ビザは観光・親族訪問用のビザですが、アマチュアスポーツ選手がスポーツを米国内で行う場合にはこのビザの利用が可能です。なお、アメリカ国内で報酬をもらわない場合であっても、アメリカ国外でプロとして活動している場合には、アマチュアとはみなされません。あくまで、ご自身がアマチュアかプロかという視点からの判断が必要です。ESTAでの最長滞在可能期間は90日、B-2ビザの場合には180日です。それぞれの滞在期間の範囲におさめて渡米計画を立てる必要があります。
プロスポーツ選手
プロのテニス、ゴルフ、オートレースなどのスポーツ選手で、試合などでの賞金以外の報酬を米国内で得ない場合には、実はESTAあるいはB-1ビザでの渡米が可能です。B-1ビザは本来、報酬を伴わない短期商用向けのビザです。ESTAやB-1ビザは、本来、就労できるステイタスではありませんが、スポーツ選手については、試合の結果、賞金を得ることは認められています。
このようなプロのスポーツ選手は、戦績を残すとより多くの試合に出られるようになるというパターンが多いようで、最初はESTA渡米をしていたとしても、頻繁な渡米になるにつれ、まずはB-1を取得するケースが多いです。さらに戦績が向上していくと、通常はP-1ビザを取得します。P-1ビザは就労ビザの一種で、アメリカツアーに参戦している多くのプロゴルファーが持っているビザです。B-1ビザよりもより安定的なビザとも言えるでしょう。そういうことであれば、初めからB-1ビザではなく、P-1ビザを取れば良いのにと思われるかもしれませんが、P-1ビザは「国際的に認められたスポーツ選手」等向け就労ビザで、申請には米国内のスポンサーが必要です。例えば、男性プロゴルファーであれば、PGAツアーなどがスポンサーになります。ある程度の戦績の残していないとPGAツアーにスポンサーになってもらえず、P-1ビザの申請すらできないということになります。なお、B-1ビザ申請の場合には、書類を揃えて直接米国大使館(領事館)に申請すれば足りますが、P-1ビザの場合には、大使館(領事館)での申請の前に、米国移民局(USCIS)へのPetition(請願)が必要となります。移民局から許可を得られなければ、Pビザ申請はできず、Bビザよりもハードルの高いビザとなります。
以上を踏まえて、最初の事例の答え合わせをしましょう。
- アマチュアバスケットボール選手→ESTAあるいはB-2ビザ
- アイスホッケー選手(小学生)→ESTAあるいはB-2ビザ
- プロのスポーツフィッシング選手→ESTA、B-1ビザあるいはP-1ビザ
- プロゴルファー(アメリカツアー初参戦)→ESTAあるいはB-1ビザ
- プロゴルファー(アメリカでの戦績あり)→P-1ビザ
- メジャーリーガー→P-1ビザあるいはO-1ビザ
最後のO-1ビザは、科学、芸術、ビジネス、スポーツ等の分野で卓越した能力を持つ個人向けのビザです。P-1ビザよりも更にハードルは高くなりますが、条件が該当する場合には目指すと良いでしょう。O-1ビザもP-1ビザと同様、米国移民局への申請が必要となります。スポーツ選手の場合、例えば、オリンピックや世界選手権のメダリストであれば、該当する可能性が高いでしょう。
いかがでしたでしょうか。一口にアスリート向けのアメリカビザと言っても、上記のように色々なビザが考えられます。
IMSでは米国非移民ビザの相談を随時受け付けております。ぜひお気軽にお問合せください。
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