こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。とうとう師走になってしまいました。今年も残るところあとわずかです。年末に向けてあと一息頑張ってまいります。

本日は、米国の「グローバルエントリー」という制度をご紹介いたします。このグローバルエントリーは、米国CBP(Customs and Border Protection)という政府機関が運営するプログラムで、事前の承認を受けた危険度が低い渡航者向けの米国入国手続きを簡略化するための制度です。このプログラムは、米国人、米国永住者、その他特定国の国籍者が利用できます。

日本人向けグローバルエントリーの歴史

これまで、日本人の利用は基本的には米国の永住者のみに許された特別な制度でしたが2023年7月末より、日本国籍者でCBPの事前認証を受ければ、利用できるようになりました。喜んだのも束の間、同年10月にはシステム改修という理由で一時停止されてしまい、2024年5月15日にようやく再開され、申請ができるようになりました。弊社でも多くのご依頼をいただき、申請サポートをしていたものの、6月下旬に再び、申請に必要なプロモーションコードの不足という理由で新規申請が事実上できなくなってしまいました。多くのご依頼をいただいておりましたので、ヤキモキしておりましたが、日本時間11月27日より日本がグローバルエントリープログラムの公式パートナー国となった旨発表され、米国永住権をお持ちでない日本国籍の方の申請につきましても、プロモーションコードなしで申請できるようになりました。

グローバルエントリーのメリット

一度でも渡米されたことがある方なら、ご存じでしょうが、米国イミグレーションでの入国審査は、①米国籍及び米国の永住者用の列、➁ESTAやその他の非移民ビザ用の列に分かれています。➁の列は、多くの場合、尋常ではないほどの長蛇の列に並ばなくてはならず、審査までの時間もかなり掛かるため、トランジット(乗り換え)がある場合で、時間的余裕がない時には気が気ではありません。隣のターミナルへ全速力で走った経験がおありの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このグローバルエントリーのメリットは何といっても、上記のような長蛇の列に並ぶ必要がないこと、そして、基本的には入国審査官と会話しなくて良いことだと思います。プログラム参加者は、空港に設置されたキオスク(機械)を使用し、パスポートやビザをスキャンさせ、指紋照合すれば、入国手続きは完了し、入国審査場外にある手荷物受取所および優先出口に誘導されます。頻繁に渡米しなければならない方にとっては、非常に魅力的な制度ではないでしょうか。

また、グローバルエントリー登録が済んでいる場合、米国内で飛行機に搭乗する際にTSA Precheckを利用できるようになります。事前にTSA(米国運輸保安局)から承認を受けた旅行者はアメリカの加盟空港出発時にTSA PreCheck専用レーンを利用することができますので、ここでも時間短縮となります。また、セキュリティ検査では、靴、ベルト、ジャケットの着脱や、手荷物に収納されたノートパソコンや液体物を取り出すことなく通過することができます。

グローバルエントリープログラムへの参加資格

・グローバルエントリーへの参加が認められた特定国の国籍を有すること(日本国籍者は申請資格があります。)

・14歳以上で有罪判決歴がないこと

・18歳未満の申請者は親または合法的な保護者の同意があること

・機械読み取り式のパスポートを所持していること

グローバルエントリープログラム申請の方法

トラステッドトラベラープログラム (TTP) のウェブサイトよりオンライン申請を行い、申請料120ドルを支払います(一度支払った120ドルは返金されません。)。この申請料には5年間のプログラム登録費用が含まれます。なお、14歳から17歳のお子さんは、親あるいは合法的な保護者が申請あるいは登録していれば、申請料は免除されます。

日本国籍者の場合、戸籍謄本を出入国管理庁東京入国管理局審査管理部門(米国ではなく、日本の役所です。)に郵送か持ち込みで提出する必要があります。これは、犯歴チェックのためかと思われます。米国政府が申請者の情報を確認し、身元調査を行います。審査期間は90日程度とされておりますが、再開後の承認ケースはまだですので、実際の審査期間は現時点では不明です。

仮承認になりましたら、申請者は米国内のグローバルエントリー登録センターでCBP職員による面接を受けます(要面接予約)。 米国内の多くの主要空港に日中に到着すれば、面接予約なしのウォークインで面接を受けることもできます。面接の際に、顔写真の撮影および指紋の採取があります。実は今年の7月上旬にはCBPのオフィサーが来日され、東京と大阪での面接が可能となっておりました。弊社のお客様でも運よくそのタイミングで面接を受けられた方もいらっしゃいます。この度、日本が公式パートナーとなったことから、再度日本で面接を受けられるようになる可能性もあります。

注意点

注意しておかなければならない点は、このグローバルエントリーが認証されたとしても、ESTAやビザは別途必要であるということです。名称が若干ややこしいですが、グローバルエントリー承認されれば、ESTAやビザが不要となるわけではないので、ご注意ください。

また、基本的にはESTA利用でもビザ保持者でもご利用いただけますが、Fビザ、Mビザ、Jビザの方につきましては、それぞれI-20やDS-2019で滞在期間が管理されるため、グローバルエントリーのご利用はお勧めしておりません。

IMSでは米国グローバルエントリーの申請代行を承っております。ぜひお気軽にお問合せください。

なお、本ブログは現時点での情報であり、最新情報についてはお客様の責任において、政府公式サイト等でご確認ください。

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