こんにちは。行政書士法人IMSの洪でございます。
改正入管法が、2024年6月14日に成立し、6月21日に公布されました。先日のブログで紹介した「育成就労制度」の他にもいろいろな内容が盛り込まれていますが、今回は、新しく創設された「企業内転勤2号」ビザについて、解説いたします。
まずは既存に存在している「企業内転勤」ビザの概要について、説明いたします。
「企業内転勤」ビザとは
「企業内転勤」ビザとは、外国にある事業所から日本にある関連事業所に、一定期間転勤する外国人のための就労ビザです。こちらの就労ビザは外国人が日本にある本店、支店、または系列会社において、「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当する活動を行う際に必要となります。要件として、外国にある事業所で1年以上働いていることが求められます。また、転勤の期間が限定されておりますので、無期限の雇用は認められません。ただ、外国人の学歴や実務経験は求められませんので、例えば高卒の方でも申請が可能です。
「企業内転勤2号」の活動内容
今回の改正により2号が追加されましたが、改正後の「企業内転勤」ビザの活動内容は、以下のように定められています。
在留資格 | 活動内容 |
企業内転勤 | 一 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 【新設】 二 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関(当該機関の事業の規模、本邦の事業所における企業内転勤受入れ体制等が技能、技術又は知識(以下この号及企業内転勤および四の表の研修の項の下欄において「技能等」という。)を適正に修得させることができるものとして法務省令で定める基準に適合するものに限る。)の外国にある事業所の職員が、技能等を修得するため、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動(前号に掲げる活動及びこの表の育成就労の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
上記の文言だけでは内容が分かりづらいかも知れませんが、「~講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動」というところがポイントになります。
例えば、「研修」という種類のビザがありますが、外国人が日本において習得した技術や技能を自分の国に持ち帰って活用してもらう、つまり発展途上国の経済等の発展に寄与するという国際的な協力、貢献が目的であり、こちらのビザはあくまでも日本の機関において技術や技能を修得するためのビザですので、実務に従事したり報酬(給与)をもらったり就労活動を行うことができませんが、「企業内転勤2号」ビザであれば、技術や技能の講習を受けながら、実務にも従事することが可能になります。
また、現行の技能実習制度では外国の子会社等から研修目的など企業単独型の「技能実習1号」ビザでの受入れが可能になっていますが、新しい「育成就労制度」が開始された場合は、一定の要件の下で「企業内転勤2号」ビザによって受け入れることが想定されているようです。そして、「企業内転勤2号」ビザの場合、本体者の配偶者や子供の帯同(「家族滞在」のCOE申請対象外)はできませんので、注意が必要です。
いずれにしても、「企業内転勤2号」ビザの活動内容は示されていますが、具体的な申請要件については、現時点でまだ公表されていませんので、今後の入管情報を注視していきたいと思います。