こんにちは。行政書士法人IMSの伊東です。

 東京都知事選挙が行われ、今週の日曜日に投票・開票が行われました。過去最多の56人が立候補し、外国籍の方への生活保護の廃止を選挙公約に掲げる候補者もおり、先日のお問い合わせで外国人の方の生活保護の受給についての話がありました。また、千葉市が生活保護の申請を行った外国籍の方への受給を認めなかったために訴訟した裁判で、1月に千葉地裁が請求を退けた判決がありましたので、生活保護について簡単にまとめてみます。

(1)生活保護の目的

生活保護の目的 生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている。

(2)生活保護の対象

日本国内で生活困窮状態にある人々が対象となる。国籍や在留資格に関わらず、生活困窮状態にある人は申請することができる。

(3)在留資格の制約

生活保護法の第一条で『この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。』と定めているため、国民ではない外国人は生活保護法が適応されない。ただ、国は永住者、日本人の配偶者、特別永住者等で生活保護の要件に該当する場合に、法の準用による保護を行うよう通知している。一定の要件を満たす難民と認められた方やその他の在留資格の方も対象となることがある。

(4)申請手続きと条件

生活保護の申請について、住まいの地域を所管する福祉事務所に相談する。世帯単位で審査を行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを前提としているため、①資産がある場合にはその資産を売却等し、生活費に充てること、②就労ができるのであれば、能力に応じて就労すること、③年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合にはそれを活用すること、④親族等から援助を受けることができる場合は、その援助を受けること、としており、国は最終手段として生活保護の受給を検討するよう求めている。申請が受理されたら、調査の結果等を踏まえて生活保護の要否を判定し、原則14日以内(特別な場合は30日以内)に文書で結果が通知される。

(5)支給される保護費

厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給される。

 千葉市に対し裁判を起こした方は、元々、就労の在留資格で在留しており、治療が必要になったため、特定活動の医療滞在に変更したようです。こちらの在留資格を許可されるためには、入院治療を必要とし、「滞在に必要な一切の費用を支弁できること」が求められます。また、公的な健康保険の加入を認められず、民間の医療保険に加入することになりますので、特殊な在留資格と言えます。今回の方はどのような書類を提出し、入管がどのような審査を経て変更申請を認めたのかを分かりかねますが、この点においても生活保護の受給が認められることは難しいかもしれないという印象を持ちました。労働人口の減少に伴い、外国籍の方々が増えていくことが見込まれます。国や市区町村が様々に検討を必要とする機会が増えてくるのではないでしょうか。