こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

2025 年7月4日、トランプ大統領は、大型減税・歳出措置を柱とする「One Big Beautiful Bill(1つの大きく美しい法案)」に署名し、同法が成立しました。1000ページを超える法案、かつ、そもそも税制改革のためのものなので、弊社の専門ではないのですが、一部、ビザ関係の項目が盛り込まれておりましたので、その点をお伝えしたいと思います。

ESTAの値上げ

ESTAは、ビザ免除プログラム(VWP) を利用して渡米する旅行者の適格性を判断する電子システムです。日本等の特定の国籍を有していれば、短期商用や観光での渡米の際にビザがなくても、ESTAの承認を得ていれば、渡米可能です。申請料は、現在21ドルです。この申請料が2025年9月30日より、40ドル(約6,000円)に値上げとなります。

これまでは旅行促進手数料17ドル+運営費4ドル=21ドルという構成でしたが、法案の中で、今後は最低40ドル(旅行促進手数料17ドル+運営費10ドル以上+加算金13 ドル以上)の徴収が必要となる構造に変更するよう記載されていたものが、早速実施されるわけです。ESTA却下の際には、これまでは運営費の4ドルのみ徴収されていましたが、申請料が40ドルになれば、却下でも運営費の10ドルは徴収されるものと思われます。

ESTAは最長2年間の有効期間が付与されます(ただし、パスポートがそれよりも短い場合にはパスポートの期限まで)。したがって、2年以内に旅行等で渡米の可能性があり、現在、ESTAを有していない方は、お早めに申請してされたほうが良いかもしれません。9月29日までに申請・承認されれば、その後も有効期限までは加算料金なく、使用できます。

非移民ビザ申請時の加算料金?

非移民ビザに対し、「ビザ・インテグリティ・フィー」と呼ばれる最低250ドルの新たな手数料が導入されます。2026年度以降は消費者物価指数に応じて年次調整されますので、この新たな手数料はより高額になる可能性があります。手数料は、不法就労を行わず、滞在期間内に出国した場合や、合法的に他の滞在資格へ移行した場合など、一定の要件を満たした外国人には払い戻しが可能となるようです。概略は下記のとおりです。

  • 金額は?→最低250ドルで、従来のビザ申請費用に加算されます。したがって、例えばBビザの場合、申請料185ドル+ビザ・インテグリティ・フィー250ドル=435ドル(現レートで約65,000円)掛かることになります。
  • 誰が払わなければならない?→Bビザ、Fビザ、Jビザ、Eビザ、Lビザなど、全ての非移民ビザ申請者
  • いつから?→正式な開始日は現時点では未定ですが、最短で2025年10月1日から
  • 支払い方法は?→ 現時点で詳細不明ですが、ビザ発給時に徴収される模様。ビザ却下の際には支払いの必要なし。例えば、現在も国籍によっては面接でApprovedとなると大使館(領事館)内で支払いを求められる費用があります。同様な手続きになる可能性もありますが、煩雑なので、事後にオンラインの支払いを求められるのかもしれません。
  • 返金(リファンド)制度とは?→ 滞在期間を遵守し、違反なく滞在すれば、ビザ有効期限が終了した後に250ドルの返金を申請可能とするとされていますが、具体的な返金手続きの方法や実際に返金されるのかは現時点で不明です。

旅行業界では、渡航者への実質的な負担増になるため懸念の声が上がっているようです。また、駐在員を送り出す企業にとっても負担が増してしまうことになり、その影響が心配されます。返金の可能性があるとはされていますが、ビザの有効期間はBビザで最長10年間です。10年後に返金の手続きが本当にできるのか、あるいは返金手続きがあることを申請者側が覚えていられるのか等疑問は残ります。今後も最新情報の把握に努めてまいります。

なお、本ブログは現時点での情報であり、最新情報についてはお客様の責任において、政府公式サイト等でご確認ください。

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