こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

10月に入っても暑い日が続いておりますが、朝晩はだいぶ涼しくなり、少しずつ秋の気配が近づいているように思います。品薄が続いていたお米もようやく新米が出回るようになり、安心しました。

さて、今回は帰任後の米国ビザの使用の可否について、考えてみたいと思います。帰任後のビザについて、良くある質問は下記のようなものです。

1.雇用を打ち切ったものの、まだ有効なEビザを保有している元従業員がいる。そのビザをキャンセルする手続きをお願いしたい。

2.日本に帰任したものの、出張で渡米することが未だにある。幸いにもまだ有効なEビザやLビザを所持しているので、そのビザで渡米しても問題ないか?

ビザのキャンセル?

まず、1に関してですが、Eビザ等の就労ビザは米国スポンサーがあってのビザとなります。ビザ面にはビザ申請時のスポンサー企業名(米国会社名)が記載されているはずです。したがって、そのビザはビザ面に記載された会社に在籍している限り有効なものであって、その企業を既に退職した場合には、使うべきではありません。そのビザでも入国できてしまう可能性はありますが、既に退職した会社のビザで入国することは虚偽申請にあたり、そのことが後々不利益な処分に繋がる可能性があります。ただし、残念ながら、雇用主がそのビザをキャンセルする手続きは、現在ありません。したがって、有効なビザを所持している従業員が退職する場合には、雇用主はこのビザはもう使えないということをしっかりと退職者に説明し、何なら念書でも取っておき、会社に被害が及ばないよう対策すべきと考えます。

帰任後のビザ使用

次に、2の帰任後のEビザやLビザの使用についてですが、通常は本帰国(帰任)となれば、米国現地法人での籍はなくなり、日本の親会社等へ籍が戻ることが多いかと思われます。このような場合、米国現地法人に籍がないのであれば、帰任後はそのビザは使うべきではありません。

滞在期間90日以下の短期商用で入国する場合は、保有するビザは使わず、ESTAの認証を受けた上で、ビザなし渡米をなさるのが正しい方法となります。ただし、入国審査でビザがあることを指摘される可能性があります。その場合には、既に帰任し、米国現地法人に籍はないこと、今回はあくまで出張で渡米したので、ESTA入国が相当であることを入国審査官に説明すると良いでしょう。

(ESTAでの最長滞在可能期間は90日ですが、2-3か月に及ぶような長い滞在予定の場合には、就労を疑われ、ESTAでの入国はできない可能性がありますので、ご注意ください。この件についてはこちもご参照ください。)

なお、あまりないとは思われますが、帰任はするものの米国現地法人も日本法人と兼務で籍が残っており、米国現地法人の業務で渡米する場合には、有効なEビザやLビザで渡米しても問題ないでしょう。

また、運用上は帰任後もEビザやLビザを使ってしまって、問題なかったというお話も聞きます。ただし、例えば、その方がその後、再び赴任となり、ビザ申請が必要となった場合、オンライン申請書DS-160の「あなたは、これまでに不法滞在や入国審査官が許可した米国滞在期間を超えて滞在したり、その他米国ビザの規定に反する行為をしたことがありますか?」という質問には、厳密にはYESと回答しなければならなくなるとお考え下さい。その場合、悪質と判断されれば、ビザが許可されない可能性もあります。

以上のことから、たとえ、有効期限が残っていたとしても、安易にそのビザを使用することは避けるべきでしょう。

IMSでは米国非移民ビザの相談を随時受け付けております。ぜひお気軽にお問合せください。

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