こんにちは。行政書士法人IMSの伊東です。
昨年末、日本人の方で外国籍を取得した方からご相談を受けました。国籍を取得した国で長く会社を経営していたこともあり、当時、懇意にしていた弁護士の勧めで外国籍を取得したとのことでした。
日本は重国籍を認めていませんので、外国籍を取得した時点で日本国籍を失います。ただし、外国籍を取得した時点で日本は外国籍を取得したことを把握していませんので、日本国籍を喪失したことを届出なければなりません。
また、当然のことながら、外国籍取得後は日本のパスポートを使用することができませんし、日本人として入国または滞在し、出入国管理局がその事実を判明した場合には、事情聴取を受け、処分をされることとなります。外国籍となって日本のパスポートで入国した場合には不法入国、日本で外国籍を取得した場合には不法滞在とされます。
不法に日本に入国・滞在した場合には、事情を考慮し、在留特別許可により日本での在留が認められることもありますが、退去強制や出国命令となり、一定期間、日本への入国が認められなくなること可能性もあります。
先週、アカデミー賞の授賞式があり、カズ・ヒロさんが2度目のメークアップ&ヘアスタイリング賞を受賞されました。カズ・ヒロさんは元々日本国籍で1度目の受賞後に米国籍を取得しました。過去にノーベル賞を受賞された南部 陽一郎さんや中村 修二さんも米国籍を取得しました。日本はすぐに結果を求められるため、研究する環境として好ましくないという話を聞いたことがありますし、2012年にノーベル賞を受賞した山中 伸弥さんも研究予算を捻出する苦労を話されていたことがありました。
カズ・ヒロさんが日本人としてアカデミー賞を受賞したことについての発言を求められることへの違和感や米国籍を選択した理由を知り、少し寂しい気持ちになりましたが、その人らしく生きていける環境を見つけられたのであれば、その場所で行きていけることが望ましく、それが国籍を選択することになるのであれば、それはその人の生き方であると思います。
外国籍を取得した後に日本に中長期に滞在する場合には活動に応じた在留資格を取得することとなりますし、国籍によっては短期間の滞在でもビザを取得しなければなりません。また、再度日本国籍を取得するためには帰化申請を行うこととなります。元々外国籍の方が日本国籍を取得する場合と比較すると難易度は下がりますが、将来について十分に検討した上で外国籍の取得をご検討ください。